私たちの脳は今、歴史上かつてないほどの「過食状態」にあります。
朝目覚めてから眠りにつくまで、SNSのタイムライン、ニュースサイト、ひっきりなしに届く通知メッセージ。
私たちは常に、情報の洪水の中に身を置いています。
体が必要以上のカロリーを摂取するとメタボリックシンドロームになるように、脳もまた、処理能力を超えた情報を取り込み続けると「情報のメタボ」に陥ります。
「なんだかいつも頭が重い」
「新しいアイデアが浮かばない」
「集中力が続かない」
もしあなたがそう感じているなら、それは脳の容量が不足しているのではなく、未消化の情報が脳の「余白」を埋め尽くしているせいかもしれません。
今回のテーマは、脳の健やかさを取り戻すための「デジタル・クリーンアップ」術です。
脳のワーキングメモリには「限界」がある
以前にも触れた通り、私たちの脳には「ワーキングメモリ」という、情報を一時的に置いておくための限られたスペースがあります。
デジタルデバイスから次々と流れ込んでくる情報は、この貴重なスペースを無意識のうちに占拠します。
特に
「自分に関係があるかもしれない」
「あとで確認しよう」
といった未完了の情報は、脳のバックグラウンドで常にエネルギーを消費し続けます。
これを放置しておくと、本当に大切な
「深く考える」
「創造する」
「目の前の人を大切にする」
といった活動に割くためのエネルギーが枯渇してしまいます。
脳の余白を作ることは、単なる整理整頓ではなく、あなたの「思考の質」を守るための生存戦略なのです。
デジタル・クリーンアップ「3つのステップ」
脳をメタボから救い出し、軽やかな状態に戻すために、当ラボでは以下の3つのクリーンアップ工程を推奨しています。
まず行うべきは、情報の流入そのものを制限することです。
- 通知の全削除
-
電話と緊急の連絡を除き、すべてのアプリの通知をオフにします。
通知は、あなたの時間を他人に明け渡す「招待状」のようなものです。
- フォローの整理
-
SNSで「なんとなく」フォローしているアカウントを解除します。
「情報が得られるか」ではなく「心が整うか」を基準に、タイムラインを厳選しましょう。
入り口を絞るだけで、脳が「反応」を強いられる回数は劇的に減少します。
スマートフォンのホーム画面は、あなたの脳の「玄関」です。
アプリが乱雑に並び、赤い通知バッジがいくつも付いている状態は、脳に常に「やるべきこと」を想起させ、ストレスを与えます。
- 1枚目の画面には、ツール(カメラ、カレンダー、メモなど)だけを置く。
- ついつい開いてしまうSNSアプリは、3枚目以降の画面に隠す。
以前にお伝えした「ダイニングテーブルのリセット」と同様に、スマートフォンの画面も「真っさらな状態」に整えることで、視覚的なノイズを一掃します。
情報のメタボを解消するもう一つの鍵は、溜まった情報を「外に出す」ことです。
どれほど良質な情報であっても、頭の中に詰め込んでいるだけでは毒になります。
学んだこと、感じたこと、不安に思っていること。
それらをノートに書き出す、あるいは誰かに話すことで、情報は「記憶」から「記録」へと変わり、脳のメモリから解放されます。
当ラボが推奨する「朝の内省タイム」や「夜のリセット」は、まさにこの脳のデトックス作業です。
出す(アウトプット)を前提にすれば、入れる(インプット)の質も自然と高まり、情報の過剰摂取を防げるようになります。
デジタルは「主人」ではなく「道具」である
私たちはいつの間にか、スマートフォンの通知に呼び出され、アルゴリズムが勧める動画を眺める、「デバイスに使われる側」になっていないでしょうか。
デジタル・クリーンアップの真の目的は、テクノロジーを否定することではありません。
デジタルの便利さを享受しながらも、その主導権を自分の手に取り戻すことです。
「今、私はこの情報を必要としているか?」
「この操作は、私の人生を1%でも良くしているか?」
この問いを常に持ち続けることが、情報社会の中で自分を見失わずに進むための「羅針盤」となります。
今回の課題:スマホの「1枚目」を空にする
まずは今日、あなたのスマートフォンのホーム画面の1枚目にあるアプリを、すべて2枚目以降に移動させてみませんか?
ロックを解除した瞬間に広がる「何もない壁紙」。
その一瞬の静寂が、あなたの脳にどれほどの安らぎを与えるか、ぜひ体験してみてください。
余白があるからこそ、新しい風が吹き込みます。
情報のメタボを解消し、スッキリとした頭で「今日というかけがえのない一日」を味わう。
そんな1%のアップデートが、あなたの充実生活を支える確かな土台となるはずです。
